聖観音菩薩立像 薬師寺 東院堂

奈良時代 銅造・鍍金 像高188.9㎝ 〈国宝〉

薬師寺東院堂の本尊聖観音菩薩立像。慈悲の仏でありながら近寄りがたい気品と威厳に満ちている。まっすぐ前を向いたきりっとした眼、抑揚の少ない唇、しっかりと直立した姿勢が厳格な印象を与えるが、肩に下がる垂髪のゆるやかな曲線と、なだらかな上半身に女性的な優しさがあって安堵させる。 裙(くん)の腰前に2段にかかる天衣の間を通して5筋の瓔珞(ようらく)が見え隠れするのが、単調になりやすい直立像に変化を与え華麗さを際立たせる。裙の上端に作られる装飾が鬼面のようにも見え、観音の衆生済度の決意を象徴するかのようだ。 蝋型(ろうがた)鋳造(ろうがたちゅうぞう)の技法によるが、全面が丁寧に磨き上げられ、美と高貴さが増幅される。
〈仏像解説〉山崎隆之
〈写真提供〉:飛鳥園

[ 奈良仏像カレンダー2020 ]
Client::奈良県(ビジターズビューロー)
Supervision:山崎隆之
Art Direction:立花幹也
Design:Yellow dog studio
Calligraphy:加藤朝胤(薬師寺 管主)
Photo:小川光三(飛鳥園)
Printing:岡村印刷工業

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